TERA RMT 日本AMDが「日本市場向けの限定モデル」と位置づける新製品で
2013年8月23日,AMDの日本法人である日本AMDは, テラ RMTRichland(リッチランド)世代の新型APU「A10-6700T」を日本市場に投入すると発表した。実際に24日から国内販売が始まっている。
これは,日本AMDが「日本市場向けの限定モデル」と位置づける新製品で,その最大の特徴は,TDP(Thermal Design Power,熱設計消費電力)が45Wと,低消費電力に振ってあることだ。「T」の付かない通常モデル「A10-6700」と比べるとTDPは20Wも低いため,低消費電力のプロセッサが人気の日本市場で受け入れられる可能性が高いと,AMD,そして日本AMDは考えているのだろう。
今回4Gamerでは日本AMDからA10-6700Tの実機を入手できたので,ゲームにおけるCPUコア性能と統合型GPUの性能を明らかにしてみたい。
動作クロックの引き下げによって
TDPを65Wから45Wへ
Richland世代のAPUなので,パッケージはもちろんFM2
まずはA10-6700TがどのようなAPUなのかを確認しておこう。
CPUとしてのA10-6700Tは,2基の整数演算ユニットが1基の浮動小数点演算ユニットを共有する格好の「Piledriver Module」を2基搭載した4コア仕様のプロセッサだ。これは,A10-6700と同じ仕様であり,付け加えるなら,Piledriver Moduleごとに容量2MBのL2キャッシュが用意されている点も変わっていない。
一方,GPUとしてのA10-6700Tが統合するシェーダプロセッサ「Radeon Core」の数は384基。演算ユニットたる「SIMD Engine」をVLIW4エンジンによって6基搭載する仕様となっており,こちらもA10-6700と同じだ。さらに,アンコア部のデュアルチャネルメモリコントローラがDDR3-1866対応となるのもA10-6700から変わらずである。
「CPU-Z」(Version 1.66.1 x64)実行結果。「Multiplier」を見ると,動作倍率RMTが最大35倍だと分かる
こちらは「Catalyst Control Center」でGPUコア情報を表示させたところ。最大動作クロックは720MHzとなっている
では,どこが変わったことで,A10-6700の65WというTDPを45Wへ低減できたのかという話になるが,ここまで説明すればピンときた読者も多いだろう。そう,動作クロックだ。
A10-6700Tでは,CPUコアのベースクロックがA10-6700の3.7GHzから2.5GHzまで抑えられ,自動クロックアップ機能である「AMD Turbo CORE Technology 3.0」(以下,Turbo CORE)を有効化したときの最大動作クロックも4.3GHzから3.5GHzまで引き下げられている。さらにGPUコアの最大動作クロックも844MHzから720MHzへと下がっており,GPUブランド名も「Radeon HD 8670D」から「Radeon HD 8570D」へと変更済みだ。動作クロックを積極的に引き下げることで45Wという枠内に収めてきたモデルという理解でいいだろう。
表1は,そんなA10-6700TのCPUコアスペックを,A10-6700,そして競合の2コア4スレッド対応CPUで,グラフィックス機能「Intel HD Graphics 4000」を統合した「Core i3-3225」(以下,i3-3225)と比較したもの。表2はGPUコアのスペックを,A10-6700とi3-3225,VLIW5エンジンで6基のSIMD Engineを搭載する単体GPU「Radeon HD 6570」と比較したものになるTERA RMT。