[SIGGRAPH]空気で感じるフォースフィードバックや水面ディスプレイなど,ユニークな技術が披露された「Emerging Technologies」レポート
ラグナロク RMT商用化や製品化前の先端技術を発表する展示会「Emerging Technologies」レポートの後編では,エンターテイメントへの応用もできそうな,ユニークな“体験系”技術をレポートしたい。
MicrosoftはEmerging Technologiesレポート前編で紹介した「Foveated 3D Display」以外に,2013年1月に発表した「IllumiRoom」も展示していた。プロジェクションマッピングをゲーム体験や映像視聴に応用する技術で,テレビの外にまで映像がはみ出てくるような表現を可能とする
[SIGGRAPH]次世代のディスプレイ技術が垣間見えた,先端技術展示会場「Emerging Technologies」レポート(前編)
AIREAL: Tactile Gaming Experiences in Free Air
Rajinder Sodhi氏ほか,Disney Research Pittsburgh
「Kinect」のような完全ハンズフリーのモーション入力システムが登場したことは,マン・マシンインタフェースのあり方に変革をもたらした。ただし,ある重大な課題が,未解決のまま残されている。それは,ハンズフリーのモーション入力システムでは,映像以外にシステム側からのフィードバック手段がないという点だ。
たとえばゲームコントローラの場合,振動機能によるフォースフィードバックが内蔵されるのは,今や当たり前のこと。モーション入力系のゲームコントローラでも,WiiリモコンやPlayStation Moveはスティック状のコントローラを握って操作する仕組みなので,振動フィードバックが可能。つまりハンズフリーのモーション入力システムは,「何かを持ったりしなくていい」という利点が,同時に弱点となってしまっているとも言えよう。
ディズニーのテーマパークで使われる技術など,エンターテイメント分野で利用できるさまざまな基礎技術を研究している「Disney Research」は,この課題に対する提案を,Emerging Technologiesの場で披露した。それは,空気の振動を渦の形で照射するという技術だ。イメージとしては,理科の実験で作る空気砲のようなものであった。
AIREALの実物。手前側に見えるのが空気を吐き出すノズル
RO RMT「AIREAL」(エリアル)と呼ばれるこのシステムは,一辺が8cm程度の立方体型エンクロージャに,蛇腹状のノズルが付いたものだ。このノズルはモーター制御で上下左右に動き,ノズルが向いた方向に,リング状の渦(空気振動)を発射する。
エンクロージャの側面のうち,ノズルのない5面には,直径5cm程度のサブウーファが装着されている。このサブウーファを振動させることで,エンクロージャ内部で空気渦を形成し,ノズルからそれを発射するという仕組みだ。
AIREALの構造と各部位の機能
Kinect系のゲームに応用する際には,こんな設置イメージになるらしい
分かりやすい例として,KinectとAIREALを組み合わせた場合で説明しよう。ユーザーがKinectでモーション入力を行っているときは,顔や手足を動かしたりする。そのときにフォースフィードバックを与えようとするならば,AIREALで手足や顔に目がけて空気渦を打ち出す。狙ったところに空気渦を発射するために,ノズルの先端は稼動して向きを変えられるようになっているわけだ。以下にDisney Researchが公開している,AIREALの説明ムービーを掲載しておこうRMT。