[SIGGRAPH]NVIDIAやImagination,ARMの最新製品が競演。「Exhibition」展示セクションレポート
SIGGRAPHはドラクエ10 RMTコンピュータグラフィックスと,それに関連するインタラクティブ技術を扱う学会なのだが,最近では商業イベント的な側面が色濃く出てきており,かなり規模の大きい企業展示ホールも併設されている。本稿では,展示ホールに出展していた企業から,GPUに関わる企業ブースを中心に,展示の見どころをレポートしよう。
Kepler世代Tegra「Logan」と,GK110コアの「Quadro K6000」をアピールしたNVIDIAブース
ブースのあちこちで「Ira」の顔を見かけるNVIDIAブース
まずはSIGGRAPHに力を入れているNVIDIAブースからだ。ブース内のそこかしこでは,「Real-time Live!レポート」で紹介した「Digital Ira」が出迎えてくれる。
最も目立つ位置に展示されていたのは,Kepler世代GPUコアを搭載した次世代Tegraこと,開発コードネーム「Logan」だ。
LoganのGPUコアはKeplerコアベースであり,シェーダプロセッサとして「CUDA Core」を192基搭載する。ついにCUDA Coreを搭載したことで,GPGPUプラットフォームとして利用できるようになったと,NVIDIAは強調している。
OpenGL対応も強化され,「OpenGL ES 3.0」に対応しただけでなく,最終仕様がほぼ決まった「OpenGL 4.4」にも完全対応する予定とのこと。Tegra 4がOpenGL ES 3.0に対応しないことが明らかになったときには,「どうしたNVIDIA!」という不満の声も聞かれたものだが,すべてはこのLogan登場までの“溜め”だった,ということだろうか。
Loganに関する説明を担当したSridhar Ramaswamy(スリドハー・ラマスワミー)氏によれば,FLOPS値で言うと,LoganはPlayStation 3(以下,PS3)のGPUである「RSX」(GeForce 7800ベース)と比べて,約1.5倍の性能があるとのこと。スマートフォンやタブレットでも,PS3並みのゲームグラフィックスを,十分に動作させる性能があるとアピールしていた。
Loganで動作中のIra
DQ10 RMTブースで披露されていたLoganのデモは2種類。1つは中年おじさん「Ira」のフェイスレンダリングデモ。これは3月に開かれた「GPU Technology Conference 2013」にて披露された,GeForce GTX TITAN版を軽量化したものだそうで,レンダリング解像度やテクスチャ解像度を低く抑えて,顔のシェーディングにかかわるシェーダのいくつかを,削減したものになっているとのことだ。下に,Ramaswamy氏による,Logan上で動作するIraについての解説ビデオを掲載したので,参照すると理解が深まるだろう。
Sridhar Ramaswamy氏によるLogan版Digital Iraの解説
テッセレーションステージの性能をアピールするIslandデモもLoganで動作していた
もう1つは,視点からの距離に応じて,レンダリングする3Dモデルのジオメトリ詳細度を動的に増減させる,適応型LOD(Level of Detail)をテッセレーションで実装した「Island」デモだ。南国の海や島を描いたもので,テッセレーションの効果を見せるために,ワイヤーフレーム表示にも対応している。下に掲載したのは,Loganの発表時に公開されたデモビデオだ。リアルタイムのテッセレーション処理の様子が分かるだろう。
Mobile KEPLER LOGAN ISLAND DEMO
Quadro K6000デモ機による,4K環境でのグラフィック制作デモ
SIGGRAPH 2013会期中に,NVIDIAが発表したもう1つの製品が,第2世代Kepler「GK110」コアを採用したワークステーション向けGPU「Quadro K6000」(以下,K6000)だ。NVIDIAブースでは,これのデモも披露されていた。
デモ機は,K6000を搭載したDellのワークステーション「Precision T7600」と4Kテレビを接続した解像度3840×2160ドットの環境で,4K環境でも快適なグラフィックス制作が行えると,NVIDIAは主張していた。
そのほかにNVIDIAブースにあった興味深い展示を,まとめて紹介しようRMT。