FF11 RMTという要素が薄れることによる影響
4Gamer:
FF11 RMTしかしこれだけワールドがきれいになっていくと,違う問題が発生するのではないでしょうか。これはSTTの管轄ではないと思いますが,せっかく田中さんがいらっしゃることですし,聞かせてください。
ギルがこれだけ減っていくと,当然デフレが進んでプレイヤーに様々な影響が出ると思うのですが,その部分について田中さんのお考えを聞かせていただけると。
田中弘道氏:
ある一定のレベルで物価が安定するはずなんです。それと合わせて,色々な追加要素を数か月に1回入れて,どんどん変動させていく。業者など第三の要素がなくなれば,経済の動きが把握しやすくなります。
Sage Sundi氏:
開発側でも,日々のモンスターによって生成されるギルや,クエスト,プレイヤー間での取引だったりをずっと見ていくので,STTによって影響が出てくるということがないように常に気をつけています。
田中弘道氏:
例えば,ワールド内でギルが減少傾向にあると分かれば,我々もギャンブル要素などを導入しやすくなります。うまく回っていけば,今後は夢のあるコンテンツをいろいろ提供できるのではないかなと思ってます。
4Gamer:
なるほど。とはいえ1プレイヤーとしては,安定するまでの過渡期が一番大変ではないかと思っています。欲しいものは買えず,かといってお金はいままでどおりにしか稼げず,というか。そのあたりは,何か手を講じたりするのでしょうか。
室内俊夫氏:
必ずしもSTTによるバランス変化でやっているわけではないのですが,先月のバージョンアップでは,アウトポストのテレポサービスの利用額を下げたり,リンバスへの挑戦に必要なアイテムの値段を下げたりとか,随時手は入れています。
Sage Sundi氏:
おっしゃるように,競売の金額など,大量に売っていた人がいなくなることで,一時的に一気に値段が上がったりはあると思います。しかしそこは,徐々に一般の生産者によって本来の姿に戻っていくと思います。しばらくは耐えていただくよりなく,過渡期の間は影響があるでしょうね。
4Gamer:
コンテンツの中にはおそらく,インフレ時の相場に合わせて付けた値段もあると思います。そのあたりはどうでしょう?
Sage Sundi氏:
そこも手は入れているはずです。もし「忘れているのでは?」という部分があれば,ぜひフィードバックしていただきたいです。
田中弘道氏:
とはいえ,システム側が付けた値段にそんなに高いものはないと思います。高額商品はやはりプレイヤー間の取引で生まれるものかと。逆にギル総量が減ってくれば,その分,システムがプレイヤーに撒けるお金も増やせるので,お金が稼げているという感覚が得られるようになるのではないかな,とも思っています。
STTの今後の活動は,いよいよ次の段階に?
4Gamer:
話を戻しまして,今後もSTTは,今までと変わらず,売り手側と買い手側の両方に,どんどん手を入れていくというモードですか?
室内俊夫氏:
ハンターもそうですね。
4Gamer:
そういえばハンターは減りましたか?
Sage Sundi氏:
大分減りましたねぇ。寝釣りもそうですし,狩り場占拠もそうだし。
室内俊夫氏:
FF11 RMTいわゆるファーマーというやつですね,プレイヤーが一番目にする機会が多いのは。「いつもの狩り場に,いつもいるあいつら」でしょうし,そういう報告が一番多いです。あと競売などもそうですが,数の暴力でこられると,まじめに狩りをする人や,合成をする人のやる気が削がれてしまう。そういう意味でも重要なところだと思います。
4Gamer:
ところで,ハンターの国籍は偏っていたりします?
室内俊夫氏:
割合でいえば北米アカウントが多いですが,実際にプレイしている人がどこの国かは分からないですね。彼らは諦めずにアカウントを取得しては帰ってきます。
4Gamer:
客観的に見て,FFXIはRMTマーケットからすれば「御三家」の一つですから,だいぶ“頑張る”んですね。
田中弘道氏:
ほかにも,新興勢力があの手この手で出てきています。
4Gamer:
それは既存の業者とは関係のないラインで?
Sage Sundi氏:
ええ,関係ないラインで。そういう新興勢力で,大きなところが結構でてきていますよ。やはり,儲かりそうだという匂いがあるんでしょうかね。
4Gamer:
そんなに儲かるものなんですねえ。
Sage Sundi氏:
彼らにとっては,そのMMOが潰れても,どんどん新しいのが出てくるからいいや,という程度なんじゃないでしょうか。
4Gamer:
しかし,それでもこの半年でかなりの成果が出ていますよね。
Sage Sundi氏:
本当に減りましたよ。RMTサイトが3分の1になっているのは前のグラフのとおりですが,先ほど述べたように,当初ターゲットにしていたところは7~8割近くがなくなっています。しかも,途中で路線変更しつつやっているので,当初の目標からターゲットがずいぶん増えていますが。
室内俊夫氏:
ここにきて,メールフォームを設置したのはとても意味があると思います。あらかた手はつけたけれど,みなさんはどこが気になりますか? と聞けることには大きな意味があります。
Sage Sundi氏:
あとはシャウトですね。消えている場所もありますが。まだ一部で残っている。シャウトは目立つので,業者がいっぱいいるように見えてしまうんですよね。仕方のないことですが。
室内俊夫氏:
人が多いところでないと,シャウトの意味がないですからね。
4Gamer:
そんなこんなで,ずいぶんと色々なものが進んでいますが,今後はどのように活動を進めていく感じですか?
Sage Sundi氏:
前のインタビューのときに,表の組織,RMTのウェブサイトや金庫があるくらいまでは見えていて,その裏にハンターがいるということをお伝えしました。現在は,その部分の解明が終わり,そこへのメスが7~8割方終わったというところですね。今はほぼその集大成にきています。そこで,上半期までに当初持っていたターゲットに関しては一度終えてしまい,その次の段階に入りたいかなと思っています。
あとは再発問題。業者が戻ってくるのを一定ラインではせきとめていますが,それをどの段階で対処するのか。高レベル帯のキャラクターが残っていると,それによる稼ぎキャラのPL(パワーレベリング)があるので,そこもどう止めていくかですね。
4Gamer:
だいぶ細かい部分にまで手を付け出していくんですね。今回のハッキリとした意志表明を機に,ますますの活躍に期待しています。本日はありがとうございました。
購入側としてのRMT利用者を,ハラスメントなどのその他の規約違反行為と同様に厳しく対処していくというスペシャルタスクチーム。言うは易いが,実際に企業が「お客様」を自ら遊べないようにすることは,想像を超える難しい決断になるはずだ。それを「普通にプレイしている人に対して間接的であれ,迷惑になっている」というシンプルかつ明瞭な理由で捌くSTTは,いよいよもって「FFXIをきれいにする」(前回のインタビューより)ことに本腰を入れて取り組み始めている。購入者がいなくなれば当然販売者も淘汰されるわけで,その抜本的問題に手をつけた意義は,非常に大きい。
前回の記事は,STTそのものの珍しい存在意義から,RMTなどの話に終始してしまった感があるが,ここで改めて読み直してみてほしい。彼らの主張と行動は,この半年間,驚くほどにブレていない。
いまだ業界の根底に潜む「RMT」というグレーな問題を,法や組織に頼ることなく自らの力で率直に解決していくスペシャルタスクチーム(余談だが,英語での名前は『スペシャルタスクフォース』なので,Sage Sundi氏は日本でも「STF」とよく間違える)。今後のさらなる活動に期待しつつ,このような活動が各社に広がっていくことにも期待したい。結局は,各社が自力で解決するしかない問題なのだからRMT。