「ラグナロクオンライン」8周年特別企画,RO歴代関係者に集まってもらい座談会を開いてみました
敵は数万,GMは16人!
RO RMT圧倒的戦力差で挑む手段はPrintScreenのみ!?
4Gamer:
2002年から2003年頃は,BOTが大きな問題になっていた時期だったと思いますが,どのように対応していたのでしょうか。
新津氏:
あのときは,廣瀬さんもBOTの取り締まりをしてましたよね。
廣瀬氏:
手動でずっと追いかけてました。
畠山氏:
当時のBOT対応はすべて手動だったので,現場に赴いてBOTかどうかの問いかけをしていました。その問いかけに対し,正常に対応できるかどうかを一人のGMが1体のBOTに行なっていたので,処分件数が全然伸びませんでしたね。
千葉氏:
何が証拠になるのかといったことでさえ,手探りだったんですよ。詳細は公表はできませんが,BOT(と推測されるキャラクター)に,どう考えてもキャラクター操作を手動でやったらそんな動きはできないという行動をさせて,スクリーンショットを連打します。BOTの名前一つにつきフォルダを一つ作って,証拠のSSをガーっと撮って,そこからこのSSとこのSSが証拠になると思うので,処罰対象です! と,テキストをまとめて一体分の処理の確認をお願いします。私達GMには処分する権限がないので,証拠を確認する係がいるんです。
畠山氏:
あの確認を通すのが大変なんですよ。これが証拠ですと提出しても,「ここの名前がオブジェクトと被って見づらいからダメ。もっと良い画像はないのか?」とか。
千葉氏:
ほかにも,問いかけに反応しなかったというのがあったとしても,タイムスタンプが一定秒数以上だったら「その間に,たまたま離席していたんじゃないか?」って言われると,「そうですね」としか返せないので証拠不十分。一時間近くかけてSSを撮ってダメっていうのも結構あったので,GMが手動でやっていた頃は,プレイヤーのみなさんに満足していただける状態ではなかったと思います。
4Gamer:
その頃はGMは何人ぐらいいたんですか?
畠山氏:
15,6人いたと思いますね。夜勤は2人で,ひとりがずっとBOTを追ってて,もうひとりがサーバー管理をしていました。
新津氏:
当時は現行犯で捕まえるしか方法がなくて,地道にパトロールをするしかなかったのと,GMのアカウントの権限も整備されていなかったんです。例えば BOTがテレポートをしてしまうと追跡方法がないのでひたすら徒歩で探さなければなりませんでした。そのため,どうしてもBOT一体につき1時間半から2 時間ほどかかっていました。とにかく,BOTを追いかけても,BOTの抑制には繋がらなくて苦労した覚えがあります。
4Gamer:
それが改善され始めたのはいつぐらいからになりますか?
広田氏:
RO RMT改善というか,GMは頑張ってくれているけど,もう埒があかないと。その当時ですと何万体といたわけでして,もう手動では無理だと判断しました。そこで私が社長に専門的に分析するチームを作らせて欲しいと直談判して,二つの課を作ったんです。
まずBOTの傾向と対策みたいなものを“データ監視課”が分析します。そして分析したものを実行部隊として“ゲームサポート課”が取り締まるという形です。データ監視課は分析をして,接続IPだとか時間帯だとかを調べ上げ,実行部隊に計画を出させて取り締まりをやっていたわけです。そういう経緯がありまして,功を奏してきたのが2007年の冬ごろで,プレイヤーさんに80%削減するという目標を提示,実現できるようになってきたという感じですね。
4Gamer:
2006年にゲームサポート課の立ち上げとなりますと,そこからでも大体1年ぐらいかかったということなんですね。最近は,BOTをあまり見なくなりましたが,いまのBOT事情はどんな感じでしょうか。
新津氏:
まだ100%のBOTをシャットアウトできてはいないのですが,最盛期と比べれば,数%程度になんとか押さえ込んでいる状況ではあります。
4Gamer:
最盛期は本当にすごい数でしたね……。
広田氏:
そうですね。月に4万とか5万ぐらいのアカウントは停止していたんですが,止めてもまた同じぐらいのアカウントが入ってきてましたからね。
4Gamer:
当時は新アカウント1週間無料とかあったじゃないですか。あれも原因のひとつだったような気がします。
広田氏:
そうですね。フリープレイチケットだとか海外からの接続,IDのストックなどマクロで捉えていましたので,そういったものをひとつひとつ潰していって,最終的にはn-Protectなどで総合的に封じ込めるような対策を施しました。その中でも,やはりフリープレイチケットの廃止が大きかったかな。
新津氏:
もちろん,営利企業ですから会員数を伸ばすための手段としてフリープレイチケットを廃止することについては,社内でもいろいろな意見がありました。ですがやはり,プレイヤーからの意見は,BOTに関するものが一番クローズアップされた問題だったので,会社としても全面的に対応しようとフリープレイチケットを始め,BOTの原因になりそうなものはいったん廃止,見直そうという決断を下しました。今ではその効果がようやく現れ始めて,BOT数の減少が目に見えるようになってきましたRMT。