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【切込隊長】そろそろ「無料」と銘打つのはやめにしないか,オンラインゲーム業界は


   テラ RMT三回目の寄稿となる今回だが,またしても「4Gamerでこんなこと書いてどうするんだ」という記事をお送りしたいと思う。いや,本当は「エアーマネジメント」のプレイレポートでも書こうと思っていたのだが,いい加減誰かが言わなければというか,みんな気付いているんだし,そろそろ取り組もうぜというか。今回もまた,そんなオンラインゲーム業界についての与太話を書いてみる。

  そのゲーム,無料につき

  


  さて,オンラインゲーム業界を見渡してみると,バナーに「登録無料!」とか「いますぐ無料プレイ」とか「永遠無料」とか「無料宣言」とか「無料オンラインゲーム」とか,とにかく「無料」を前に出して客集めをしているオンラインゲーム屋がたくさんある。

  でもさ,商売でゲーム屋やってるんだよね。

  商売である以上,「無料」では成り立たないのは分かっている。だから無料でお客様を集めて賑わいを作って,そこで他とは違う楽しみ方をしたい,他より早く強くなりたい,という人間の持つ競争意識を煽って,有料アイテムを販売して,無料ユーザーの何%かが金を払ってくれることで商売が成り立っている,そういうことは誰でも知ってるから。

  そうした点を踏まえたうえで言いたいのだが,登録から一通りゲームを遊べるところまで無料,というのは分かるが,課金をある程度しなければ満足にゲーム内を移動することもできず,結果として完全有料になっちゃってるタイトルとかってあるじゃない。一歩引いた目で見れば,「どうなのよそれは」と誰もが突っ込まざるをえない。そうした歪な状態が「当たり前」となってしまった,そんなどうしようもない状況となってしまっているのが,今のオンラインゲーム業界である。

  いや,別にそれが遺憾だしいかん,と言いたいわけじゃないよ。商売としてはマジで手堅いし,一つのやり方ではあると思う。ただ,もうそういう仕組みでは,客になってくれる人を掘り起こしきったんじゃないか,と言いたいわけ。

  そのうち書くつもりである「RMTが汚い大人の巣窟になっている事例」も含めて,総括的にオンラインゲーム業界を考えると,テレビコマーシャルをバンバン流している“健全なオンラインゲーム業者”ですら,無料で試せることを前面に押し出して,時間はたっぷりある子供たちをターゲットに顧客集めをし,賑わいを作ろうとしているのが現状だ。

  TERA RMTしかし,乱立した無料オンラインゲームによる業界拡大も一服した今,「βテスト商法」だの「基本無料商法」だのは,支払い顧客率の低下と,ゲームポータル内の後継ゲーム作品の当たらなさが課題となってきている。無料をいくら叫んでも,新規顧客の開拓ができなくなっているのだ。

  だから,オンラインゲーム業界の各社は,大型バージョンアップとイベント量の増加という「稼動している主力タイトルに対する追加投資の拡大」で,当面の売上を確保しようとしている。

  一方で,いわゆるパッケージゲームには,顧客一人当たりの想定プレイ時間というのがあり,タイトルの規模によって,10時間ぐらいのものから60時間以上のものという想定でゲームは制作される。

  例えば,「やりこみ要素満載!」とかいって作ったとあるゲームは,システムの延長線上で可能な遊び方を200時間とか設定しているわけだが,このレベルになると,コンソールゲーム業界内では「やりすぎ」とか言われてしまうわけだ。

  でもオンラインゲームの場合は,プレイヤーの遊び方にもよるけれど,「やり込み仕様で課金ユーザーで」という流れだと,普通に半年1000時間とか使わせる。ギャグかと思うけど,実際にそういう仕様を作る。あるいは,最低でもそのぐらいになるように拡張性を残しておく。

  将来のバージョンアップで,新たなミッションや新たなワールドや新たなアイテムを作り,またプレイヤーにお金を落としてもらわなければならない。でも,同じシステムで使い回すと,やはりプレイヤーは飽きてしまう。だから,システムを「付け加えられる余地」,すなわちゲームとしての「拡張性」が大事になってくるわけだ。

  二年ぐらい前のタイトルだと,いわゆる「廃人」を除去するような仕様を作っていた。プレイ時間を大量に浪費しても,効率が下がるとか,ドロップ率が変わってアイテムが手に入らないとかそういうのだ。ところが,真の「廃人」はそこにギルドメンバーがいる限りオンしているし,複数アカウントを使い倒して,そうしたルールに引っかからないように各キャラクターの活動時間を調整する。なぜなら,そこまでしてプレイするから「廃人」なのだ。

  なので,いまではピラミッドの上を高く,高く,神々に届くまで高くして,普通にプレイする進行速度の人たちには,その背中すら見られないようにするのが業界の「マナー」であり「常識」となってしまった。紆余曲折を経て,結局先祖返りしたわけだ。

  「廃人」たちが手に入れる崇高なアイテムには,昔ながらの能力値による装備資格が定められていたりして,初心者に手渡そうにも装備できず,利益には与えれない。結果として,ゲームシステムの中で「廃人」は,常に普通のプレイヤーから隔絶されるような仕組みとならざるを得ないわけだ。

  ちなみに,業界で言う「普通にプレイする」というのは,週末土日に3時間ずつ週10時間程度を想定するメーカーが一般的だ。これでもパッケージゲームを開発する想定仕様に比べれば格段に多い。

  なぜなら,現在のオンラインゲームの課金体制は一か月だったりアイテム課金だったりするが,三か月程度でユーザーの獲得コストがペイするなどと考えると,50時間どころか100時間を越えるユーザーを2万人集めるというのが,オンラインゲームでビジネスを行ううえでの最低限のボーダーラインになるからだ。

  DS向けとかだったら「何周するつもりだこの馬鹿」と思われるプレイ時間を,課金ユーザー全員に求める。そのゲームの世界観を堪能してもらおうと考えれば,必ず使ってもらわなければならない時間でこれなの。ゲーム業界全体としては,ヘビーユーザーを大量に消費する問題児,それがオンラインゲームなのである。

  とはいえ,こういった問題を乗り越えられるタイトルが,オンラインゲーム成長期には20タイトル以上あったのも事実だ。そのなかには,ミリオンセラータイトルもびっくりなくらいの化け物タイトルに成長したものあるが,リリースされたオンラインゲームの数からすると,黒字になって二年以上継続しているタイトルは極わずかである。

  ただまぁ,当たればデカイんだよなオンラインゲームって。なんたって,開発費の回収までに,オープンβ初日からわずか三週間しかかからなかったタイトルすらある。オープンβなのにどうやって黒字になっているのか不思議でしょうがないがRMT

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